映画鑑賞の尖兵

話題の映画から怪しい映画まで とにかく体当たりレビューしてしまおうという試み

「アウトロー」 近所のおっさんの方がアウトロー(ダイハードのおまけ付き)

これも最近観た映画です。

 アウトロー


トム・クルーズ主演『アウトロー』予告編 - YouTube

予告編を観た段階で大方の予想がついて、いざ観てみたらその通りの映画でした。リー・チャイルドというイギリスの作家原作のハードボイルド小説「ジャック・リーチャー」シリーズの映画化だそうです。

あらすじとしては、アメリカ、ピッツバーグで5人の犠牲者を出すスナイパーライフルによる射殺事件が発生します。現場からは6発の銃弾と薬莢。警察は無差別殺人事件と判断し、狙撃ポイントである立体駐車場ゲートのコインに付着した指紋から、元アメリカ陸軍スナイパーの男を逮捕します。

しかし容疑者は取り調べに対し、「ジャック・リーチャーを呼べ」とだけメモ帳に書き口を閉ざしてしまいます。ジャック・リーチャーとは何者なのか皆分からない状態でお話が始まります。

映画の冒頭が真犯人による狙撃シーンなので、リーチャーがいかにして事件を捜査するかという部分がみどころのようです。というか、この真犯人がこの映画を観る直前に観たダイ・ハード ラストデイのジョン・マクレーンの息子役の俳優さんで、どういう訳か「あ。間違えた」と思って一度ディスクを出してしまった(笑)

あー!ややこしい!頭が完全に切り替わってなかったんですね。頭にきたのでアウトローの後におまけ感覚でダイ・ハードの感想書きます。それとですね、当ブログでは監督とか俳優の名前の情報は需要があんまりなさそうなんで書いたり書かなかったりと適当な感じでやってこうと思っとります。

ジャック・リーチャー役のトム・クルーズはいつみても男前ですね。ミッション・インポッシブルシリーズが個人的には結構好きなので、トム主演の映画は何か安心感があります。

このジャック・リーチャーという主人公は、元米陸軍内部の事件を担当する凄腕捜査官で、現在は退役し色んな街を転々としているという設定。まさに流れ者、アウトローです。

しかしです。私はこの作品の主人公がアウトローというより優等生にしか見えませんでした。私が持つトムのイメージがまんま主人公に投影された感じです。原作を読んだ事がありませんので、ジャック・リーチャーの詳細な人物像が分かりませんが、私には完全無欠の典型的なアメリカンヒーローにしか見えませんでしたね。

配役ミスなのでは?と思いましたが、原作者はトムのリーチャーは100%だと言っているみたいだから多分間違ってはいないのでしょう。

リーチャーはその明晰な頭脳で、誰もが無差別殺人だと考えていた事件に隠された多くの謎を解いていきます。で、結局はある企業の陰謀である事に気付きます。

だがしかーし。だがしかしです。何度も言いますが、いくら頑張ってもリーチャーがアウトローに見えないのです。流れ者にしちゃ清潔感がありすぎますし、あまりに優秀。軍を退役した設定になってますが、「こんなに優秀なのに何でやめちゃったの?」っていう事ばっか気になってしまいます。

しかも、本編の中でもリーチャーの退役に関しては殆ど?というか全く?よく覚えてませんが語られなかったと思います。私自身が先のリーマンショックで、勤めてた会社が倒産寸前の危機に陥ったりして大変な目に遭ったのでこういう貧乏くさい心配ばっかしてしまうのかもしれません。

だから映画が終わるまで「軍に残ってたらリーチャー今頃家とか建ててんだろうな」などという、全く関係ない事ばかり考えてました。だって軍の捜査官なんて完全な勝ち組ですよね。戦闘の最前線で戦う訳でもないし。最悪退役したとしてもFBIとかすぐ入れそうだし。

それに、リーチャーが人間的に何かとんでもない欠陥があるという訳でもない。紳士的で思いやりもあります。敵側がリーチャーの捜査を妨害しようとして放ったDQN達のツレの女の子に親身になって説教したりします。女の子はそんなリーチャーにトキメいちゃったりして。もうほんとカッコイイのです。

話が進むごとにリーチャーがアウトローから遠ざかってゆく。んなもん、うちの近所のおっさんの方がアウトローだわ。

私は九州の片田舎に住んでます。その近所のおっさんは「とっつぁん」と呼ばれてて、どうやって生活してるのかも分からないような年齢不詳のおっさんです。ずっと漁師をしてたらしくて、真っ黒に日焼けしており、車は持ってません。いつも自転車に乗ってます。

とっつぁんは時々釣竿一本片手に「絶対沈むだろ」とツッコミたくなるようなボロ船で沖に出ていきます。そして、立派なヒラマサとかソウダガツオとかをポンとくれたりします。たまにでっかいナマコを手渡しでくれる事も。その度にとっつぁんスゲェなって思ってしまいます。よくもまぁあんなボロ船で・・・。

そんなとっつぁんはファッションセンスも抜群。以前夏に、近所の老人が集う小さな公園を通りがかったらとっつぁんがいて、白いランニングシャツにジーンズのハーフパンツ、スカイブルーのテンガロンハットを被って電話してました。まさにアウトロー。

多分、このアウトローという邦題がいけなかったのかもしれません。素直にジャック・リーチャーにしとけば良かったのではないでしょうか。

映画自体はまぁまぁ楽しめます。100点満点で65点くらいでしょうか。

 

ダイ・ハード ラストデイ


映画『ダイ・ハード/ラスト・デイ』本予告編 - YouTube

おなじみダイ・ハードシリーズの最新作。今回の舞台はモスクワ。あらすじとしては、ほぼ絶縁状態にあった息子がロシアの刑務所に収監されてしまい、主人公のジョン・マクレーンが身柄を引き受けにモスクワへと向かいます。何やってんだ息子よって思ってたら、実は息子はCIAのスパイとしてある重要人物の保護のためロシアに潜入してたって話です。

本作のみどころはやはり、息子とのやりとりになると思います。とはいえ、息子はCIAスパイ。戦闘力的には息子有利かと思われますが、そこは何度もテロリストを潰して来て場数を踏んでるジョン・マクレーン。まず冒頭で息子が重要人物を連れ車で逃げるのを追う武装集団の装甲車を、事情も分からないのにジープでぶっ潰します。その後もセーフハウスに完全武装で乗り込んできた兵士をたちまち連続キルするなど、もうやりたい放題。こういうノリ好きです。私はこの辺かなり笑いました。

息子は最初、CIAであるプロ意識と親父に対する憎しみからジョンをボロクソに言いますが、あまりに頼りになる親父なので段々と心を開き始めます。悪党慣れしている感じのブルース・ウィリスの演技も貫禄があってとても良かったです。

 親子関係をどうやって修復していくのかを楽しみに鑑賞していましたが、二人してボロボロになりながらも悪党をぶちのめすうちに、息子は親父のたくましさを知り親父は息子の成長を知る事で自然と距離が縮んでいく流れが、何かダイ・ハードらしくて良かったです。私は思春期に両親が離婚し、母子家庭で育ったのでこういう親父との関係はうらやましいですね。

ただ、悪党とのラストバトルの舞台がチェルノブイリという事もあって、その辺の感想などは控えさせていただきます。震災からの復興はまだまだ多くの問題を抱えていると思いますが、私個人も同じ日本国民として微力を尽くしたいと思いますし、被災地の皆様がまた安心して暮らせるようになる事を心よりお祈り申し上げます。